丹波：黒井・福知山、付き出しは松茸ご飯

高輪にも住むようになって１年
もともとは父方の祖父がアメリカから帰国後に住まいを定めたのですが、この祖父の実家が兵庫県の黒井で、京都、東京を経てアメリカへ出奔したというとんでもないお方。

実家はお寺で、祖父が家を出てからは妹が寺を継ぎ、今はそのお孫さんの代（papaのハトコになります）。
祖父は出奔した経緯から遂に帰郷したことはなく、papaが３５年前に御当主の結婚式に参列したくらいの疎遠なお付き合い。
しかし、最近何故か黒井が気になり、思い切って訪問した次第。

路線検索すると品川から新大阪、福知山線特急、となるのですが、お爺さんが上京したルートを遡ることとして、京都で新幹線を降り、山陰線特急「きのさき」に乗車。



３５年前は保津川沿いを単線で走り（今はトンネル化され、旧線はトロッコ電車に）かなりな時間を要していたが、電化とトンネル化のお蔭で福知山まで２時間足らずで走り抜ける。
福知山は丹波地方の鉄道の要衝で、山陰線、大阪からの福知山線に加え、舞鶴線、北近畿タンゴ鉄道などが集結。
駅前には誇らしげにＳＬ（Ｃ１１）が鎮座。


ここで駅弁「鯖のバラ寿司」を堪能。



日本海の鯖、丹波米
食べ応えがあって十分満足しました。
すっかり丹波が気に入ってしまう。

１時間１本の福知山線に乗り換えて



３駅で黒井駅着。
品川から５時間弱ですから早くなったものです。
爺さんの時代は山陰線もなく、京都から東京までの東海道線は利用したとしても、黒井から五日は要したでしょうね。

黒井駅。



日に何本かは特急も停車するし、一応駅員はいましたが完全に無人駅の風情。
メインストリートも無人。



街中も無人。



過疎化が進んでいますね。
駅からの道すがら開店していたのはブティック１軒、食堂１軒のみ。
徒歩１０分くらいで到着
こちらが目的地のお寺さん。



立派な門構え。
屋根を葺き替えた本堂に通され、御住職による読経。
その後は母屋で互いの近況報告。
お爺さんの妹が寺を継いで以降は苦労の連続だったようですが、今の御住職になってからようやく軌道に乗って来たようで、ご尽力の成果が良く分かります。
一月前から連絡していたこともあって、昔の資料を探していてくれました。

お爺さんから寺に宛てた手紙の封筒。



残念ながら中身は無かったのですが、裏書きに
「東京芝高輪
　佛教高等中学内」
とあり、明治３４年に開校した仏教高等中学（後に龍谷大学となり京都移転、高輪校は現在の高輪学園に）に在籍していたことが明確になりました。
表書きの消印は明治３４年１２月３日、爺さん二十歳です。

その後のアメリカ生活を住職に報告しましたが、見せていただいた古い古いアルバムに



これはお爺さんのアメリカ生活のひとコマだな
papamama家にも同じような写真があります。
アメリカで生活することになったいきさつを縷々書き送った際に同封したのでしょう。

この赤ちゃんは記憶にあります。
オジサン！



うっすらと残ったサインもあって、父の弟です。

アメリカから来た写真をアルバムに貼っていただいて、ありがとうございます。

お寺は住職のご長男、そのまた息子さん（まだおちびちゃんですが）が後継の予定らしく、安心しました。

ということで、皆さんで記念写真。
撮影してくれたのがお孫さんです。

約２時間の滞在を終えて辞去。



本日の宿泊地は福知山

夕飯は駅前の居酒屋でつつましく、鶏のすき焼き
席に着くと係の男性が
「付き出しは松茸ご飯ですが、よろしいでしょうか」
「いいけど、おいくら？」
「お一人３００円です」
「？？？安い！　　国産なの？」
「お米は京都産です。松茸はちょっと分からないけど」
「まあいいでしょ」
（よろしいでしょうか、の趣旨は、料理の注文と重ならないように、ということだったらしい）

ところが、出てきたのがコンロで炊く釜飯

付き出しなのに食べられるのは２０分後



鶏すき食べながら



釜飯をつつく



丹波と言えば、丹波栗、丹波黒豆、丹波松茸ですけど、まさかここで松茸を食べられるとは思わなかった。
昼夜ともに美味しくいただきました。